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2025.5.29
第18回(2025年5月25日)開催報告
歌のコーナーで「前を向いて歩こう」を歌う栃木市国際交流協会が本日午前中に主催した「いちご狩り」に100名を超える外国人住民が参加したとのことでした。「25日開催のいちご狩りにはたくさんの外国人住民の参加が見込まれているので、学習者は少ないかもしれません」と先週アナウンスがありましたが、予想通りの結果で、小学生は誰も来ませんでした。そこで、いつも小学生を応援している大人スタッフは、本日「大人小学生」として談笑していました。
恒例となった朝の歌のコーナー(振り返りの時間でも歌いますが)。本日は、仮の校歌である「前を向いて歩こう」を歌いました。以前にも書いた気がしますが、福島駅前自主夜間中学の素敵な校歌を聴いて、自分たちも校歌を持ちたいと思い、4年前に宇都宮で自主夜間中学を開校する際に坂本九さんの「上を向いて歩こう」の替え歌として作ったものです。「仮」とはいっても真剣につくったもので、田巻流のエッセンスが込められています。いつか、学習者やスタッフの皆さんと一緒に真の校歌を作りたいと思いますが、この歌も歌い続けたい。先週「手のひらを太陽に」を歌った後に、多言語版歌詞を用意してはとの意見が出て、何とか、本日までにネパール語と英語の歌詞を資料として配ることが出来ました。急ぎ用意いただいた関係者の皆さん、大変有難うございました。ちなみに、前の晩にやや飲みすぎて、手の震えが止まらなかったので、「昨晩飲みすぎて、今日はいつも以上にギターが上手く弾けません」といったところ、「飲みが足りない」と大きな声が返ってきました!
遠友夜学校校歌の歌詞
新渡戸稲造が明治時代に開校した遠友夜学校校歌は、札幌農学校で農業経済学を専攻する一方で、新渡戸の影響を受けて遠友夜学校の教育活動に熱心に取り組んだ有島武郎が明治31年に作詞したと言われています。作曲者は不詳。1番から9番まであります。遠友夜学校に登校した学習者は授業の前に必ずこの校歌を歌っていたようです。また、有島武郎は入学生に対して校歌の意味を懇切丁寧に説明していたようです。当時も通常は1番と5番と9番が歌われていたようですし、「映画『新渡戸の夢~学ぶことは生きる証~』サウンドトラック dreams」でも、この1・5・9番だけが歌われています。そこで、これから1・5・9番以外の歌詞を確認していきたいと思います。今日は2番。
校歌の内容は、質問形式で人としてどう生きるべきかを問いていくもので、1番から4番までは、その問いに対して否定で「否、否、否・・・」と答え、5番以降は肯定で「是、是、是・・・」と答えるのです。2番で否定されたものを確認しましょう。「剣はきらめき 弾はとび かばねは山なし 血は流る 戦のちまたのいさほしを 我身にあつめし其時か」。「否、否、否」。「かばね」と「いさほし」の意味は一緒に調べましょう。今、『有島武郎―地人論の最果てへ』(荒木雄太著、岩波新書)を読んでいます。
「こんばんは」上映会決定!
東京都の夜間学級の様子を描いたドキュメンタリー映画「こんばんは」(森康之監督、2003年作品、92分)の上映会を9月13日(土)午後にきららの杜とちぎ楽習館1階大交流室で開催することを決定しました。あるサイト(https://ukky.jimdofree.com/映画-こんばんは)では、「様々な理由で「普通に学ぶ機会」を得られなかった人々が年齢・国籍に関係なく学んでいる。異年齢間の交流、教師と生徒の温かい人間関係、そして生きるために学ぶ真摯な姿。不思議なやさしさと温かさに包まれた、今まで出会ったことのないような学校が あった」と紹介されています。4年前の自主夜間中学開校準備過程でも2度上映会を開催しましたが、多くの方から感動、賞賛の声が寄せられました。「こんな学校があったんだ!」という驚きと、「これが本当の学校じゃないのか」という気づき。自分は6-7回観たでしょうか。「新渡戸の夢」の映画もそうですが、素敵な映画は観るたびに新たなメッセージを投げてきます。そして、この日は映画に登場していた「伸ちゃん」こと、秋元伸一さんが応援に駆けつけてくれます。約20年前の伸ちゃんと現在の伸ちゃんに会えます。交流会も予定しています。無料。是非鑑賞にお越しください(田巻松雄)。
小学生クラス
「今日は『大人小学生 』 で楽しみましょう!」
年に一度の栃木市国際交流協会主催のいちご狩りのイベントが蔵の街自主夜間中学の開講時間と重なったことで、今日の小学生クラスには小学生学習者がいませんでした。
しかし、ここは誰でもいつでも学び合える場で、ここに来る応援スタッフはどんな状況であっても、自ら工夫して楽しもうとする人が多い。そして、誰もが一度は子どもだ。応援スタッフたちは、「大人小学生」となり、今日の学習空間と時間をともに学び合いながら楽しんでいました。アイディアの提供や意見交換が行われ、教育とは何か、学びとは何か、学びの場をより良くするにはどうすればよいのか、多様性を認め合うことは何が必要なのか。バラエティーに富んだ話題が次々と出ました。意見が違っても、のびのびと自由に語り合い、一緒に色んなことを考えました。
よく考えると、こうして伸びやかな学びの空間が形成できたのは、子どもたちのお陰でもあります。好奇心が溢れる子どもたちは、いつもほかの人の学びや活動に関心を示します。小学生クラスの「大人小学生」は、子どもたちの気持ちに可能な限りに寄り添い、「あそび」=余裕をもって子どもたちと学び合ってきました。一対一の学習活動をしても、常に周りにいる他の子どもや大人に関心を寄せ、温かく声を掛け合ったりしてきました。のびのびとした学びの空間と時間はこうして少しずつ形成されてきました。だからこそ「大人小学生」だけでも学びの場を楽しむことができました。
とちぎ自主夜間中学の仮の校歌である「前を向いて歩こう」には、「学びやは あなたのために、学びやは わたしのために…誰もが一緒につくる(育てる)とちぎの場所(ここ)」という歌詞があります。「大人小学生」たちはこうして少しずつ進んでいます。そして、来週は、子どもの小学生が来て、また一緒に楽しく学び合いたいと思います。子どもの小学生も「大人小学生」ももっともっと増えることを楽しみにしています(鄭 安君)。
中高生クラス
中高生のクラスでは、バングラデシュ出身の女子学生2名が参加しました。一人は初めて自主夜間中学を訪れた学生で、もう一人は少し前から通っているそうです。初めての学生は、日本語の簡単な会話や言葉の意味を学んでいました。食文化や楽器、観光地などについて、バングラデシュと日本を比較しながら、楽しく学べていたようです。もう一方は、高校の生物基礎を学んでいました。具体的には、光合成と呼吸の仕組み、生物の進化についてです。スタッフは、教科書やプリントをもとに、用語の読み方の確認と内容の説明を行いました。
今回の活動を通して、学んだことは次の2つです。
1つ目は、教科書の言葉の難しさです。例えば、「ウイルスは生物としては扱わないものとする」という文があります。日本人からすれば、ウイルス=非生物ということを表す一文に過ぎません。ですが、学生は「扱う」という単語が分かりませんでした。また、「ウイルス」とは何かを理解することが難しかったようです。他にも、「ATP(アデノシン三リン酸)」や「構造」という語が難しかったとのことです。教科書会社は、ほとんどがユニバーサルデザインを掲げており、配色やフォントを理解しやすいように努めています。しかし、文章は難しいままです。本来ならば、先程の例文は〈ウイルスは生物ではありません。〉と断定的に述べるべきです。教える側としては、このことに留意する必要があると学ぶことができました。
2つ目は、具体例を挙げながら説明すると理解してもらいやすいことです。例えば、バングラデシュには日本でも知られている果物が多いそうです。例えば、マンゴー、パパイヤ、ライチ、グァバです。学生が「好きな果物は何ですか?」という文を学ぶ際に、スタッフが具体例を挙げたので、果物という言葉の概念をすんなりと理解することができました。また、スタッフの着ていたTシャツが偶然にもバングラデシュ製であり、親近感を覚えたようです。日本の大手衣料品メーカーにはバングラデシュに生産拠点を置いている企業があり、馴染みのある日本企業もあるようです。衣食住などの文化を起点として、学習者が日本語を学ぶ動機となれば幸いです(村松 直起)。
社会人クラス
社会人のクラスには8人が学習に来てくれました。ネパール人が4人。インド人が1人。中国人が1人。日本人が2人。ネパール人の3人はまだ日本語がわからないのでひらがなやカタカナを書く事から始めました。休憩時間にネパールの文字を書き順から教えてもらいました。
前回参加してくれたネパールの3人の女性は不参加です。多分、国際交流協会が主催したイチゴ狩りにいったのかもしれません。
日本の男性が初参加してくれました。後期高齢者に近いとのことですから喜寿は過ぎてるのではないのかと思います。英語を真剣に学んでいました。仕事に生かすのか、海外旅行に役立てるのかわかりませんが、学生にもどったように写りました。今回も皆さん真剣に学んでいました。中には休憩も取らなかった人もいたようです(国母仁)。
みんなで歌おう!! हामी सबै मिलेर गाऔं ! !
「前を向いて歩こう」
अगाड़ी फर्केर हिंड़ौं
前(まえ)を向(む)いて歩(ある)こう
अगाड़ी फर्केर हिंड़ौं
不思議(ふしぎ)な 縁(えん)で 出会(であ)った
अनौठो संयोगले भेट भएको
誰(だれ)もが 一緒(いっしょ)に つくる とちぎの場所(ここ)
जो कोहिले पनि संगै बनाऊँने तोचिगीको यहाँ
ともに学(まな)ぼう ともに 歌(うた)おう
सँगै सिकौं सँगै गाऊँ
それぞれ道(みち)に 向(む)かって
आ-आफ्नो बाटोतिर फर्केर
楽(たの)しさも 悔(く)やしさも 語(かた)る とちぎの場所(ここ)
ख़ुशी पनि पश्चाताप पनि वर्णन गर्ने तोचिगीको यहाँ
学(まな)びやは あなたのために
अध्ययन भन्नेकुरा तपाईंको लागि
学(まな)びやは わたしのために
अध्ययन भन्नेकुरा मेरो लागि
前(まえ)を向(む)いて歩(ある)こう
अगाड़ी फर्केर हिंड़ौं
素敵(すてき)な明日(あした)を 夢(ゆめ)見(み)て
सुन्दर भविष्यका सपनाहरु देख्दै
誰(だれ)もが 一緒(いっしょ)に
जो कोहिले पनि संगै
育(そだ)てる とちぎの場所(ここ)
हुर्काउने तोचिगीको यहाँ
यो गीतले हमिलाई सकारात्मक दिशामा अघि बढ्न सुझाव दिनुका साथै असफलता वा विगतका घटनाहरूबाट निको हुन र
नयाँ कदम चाल्न मद्दत गर्न प्रोत्साहन र समर्थनका शब्दहरू प्रदान गर्दछ ।




