トップページ
> とちぎ蔵の街自主夜間中学
> 第9回開催報告
2025.2.12
第9回(2025年2月2日)開催報告
スタッフからのメッセージ王小慧(おう しょうけい)
最初は見学だけのつもりでしたが、参加し続けるようになりました。毎回新しい顔が増えて、堅苦しい挨拶がいつの間にか友人と交わす親しい言葉に変わりました。ここでいつも見られるのは、学習者が理解した瞬間に応援するスタッフの顔に浮かぶ安堵の表情、少しでも前進した時に学習者が見せる嬉しい笑顔であり、皆の喜びの中に私がいます。いろいろな経験を持つ方がいて、たくさんの物語を聞けます。いろいろな国籍の方がいて、知らない外の世界を知ることができ、良い意味でのたくさんのカルチャーショックを受けています。ここは勉強する場所であり、人々と交流する場所でもあると感じています。老若男女関係なく、勉強したい人、他人の力になりたい人が、自分の目的を成し遂げる場所がここにあります。もっともっとたくさんの方に蔵の街自由夜間中学で出会いたいです。

鄭安君(てい あんくん)
「おはよう」。自主夜間中学だけど、ここは日曜日の午前中にできた学びの場です。様々な職業や経験を持つ人々が集まり、様々な期待や希望を持つ人々が来る場です。「自分が知らないことを聞けるから面白いね」「子どもたちから沢山の元気をもらえるね」「皆さんの学ぼうとする気持ちにすごく刺激されるね」「色んな年齢や国の人が集まるから本当にいいよね」「良い勉強になった!やはり来てよかった~」。ここは学びが多方向で交差する場です。応援者は学習者でもあり、学習者は応援者でもあります。私は台湾出身ですが、栃木県に来てから今年でちょうど30年になります。学びや仕事、とちぎ自主夜間中学宇都宮校や多様な学び教室など、違う時期で知り合えた友だちが今、この蔵の街自主夜間中学に集まっています。そして、また新しい友だちとも出会っています。皆で話し合いながら、折り合いをつけながら、一緒に楽しい学びの時間を創っています。私にとって、ここはミラクルな場です。もっと多くの人と一緒に色んなミラクルな時間を創っていきたいです!

山口哲男(やまぐち てつお)
おもに、海外出身中学生の、数学やら理科やら国語やらを見ています。(以下、自己紹介ならぬ所感。)日本の社会はかなり申し分なくできあがっていて、逆に「そこまで整えなくても……。」と感じることも、私にはあります。(その恩恵を受けて毎日生活していながらこんな言い方したら、バチが当たりますね。)
成長途上の日本の子どもたち世代からしたら、身に付けなくちゃならないことが多すぎて、窮屈さを感じる場面で、けっこう多いんじゃないかという気がしています。(自分が作ったんじゃないものを引き継いで、維持していくのって、けっこうタイヘンだし。)海外との比較で日本の青少年が、自分に対する評価が低いのは、けっして謙虚さだけが理由ではないはず。その点、海外出身の子たちは、良くも悪くも(悪いのは、日本の中だからマイナスに働いてるだけか?)、自己肯定感が得てして(私から見て、たとえ根拠に欠けていても)高い。(笑)
現実に直面させることが必要な場面もあるし、出る杭を打たない育て方って、むずかしいですね。彼らの持っているポジティブシンキングに、「豊かさの中の閉塞(へいそく)感」打破を期待するとしましょう。日本の次世代のためにも。

田巻松雄(たまき まつお)からのメッセージ
2月2日の学習者の参加者は、小学生4人、中学生4人、社会人5人の計13人でした。スタッフは20人集まりました。スタッフの方が多かったので、学習者1人に対してスタッフ1人や2人、あるいは3人の組み合わせが出来ました。
朝の打ち合わせの時に集まっていた学習者は10人いなかったので、説明は簡単に済ませ、学習者とスタッフの交流の時間としました。いつも、学習者は、小学生、中学生と社会人に分け、それぞれ応援するスタッフは大体固定しているので、この時間は普段話することがない面々で交流するようにしました。皆さん楽しそうだったので、時間を延長して交流しました。
数日後に作文と面接による高校受験を控えていたA君には、複数のスタッフが面接の練習を応援しました。面接は緊張するだろうなあ! 最後のふりかえりの場で、受験に臨むA君に、受験に臨む決意を一言!と指名したところ、すぐにみんなの前に出てきて「頑張りま~す!」と拳を挙げながら力強い言葉で語りました(いつも突然の指名でスミマセン。次はあなたかも!?)。そしたら、「頑張れ!」の声援が会場を包みました。一体感のようなものを感じました。
スタッフのふりかえりの場では、学習者1人対スタッフ2人の組み合わせで応援したスタッフから1対2はとてもやりやすかったと感想が述べられました。1対1のような緊張感を感じなくて済む、話題が豊富になる、違う角度からの説明が出来る、応援の仕方についてスタッフが学びあえる等の利点があるのかもしれません。応援の仕方についてはいろいろな角度から検討していきます。
2月2日の報告ではないのですが、とても嬉しかったこととお知らせを1つずつ。
とちぎ自主夜間中学宇都宮校開校(2021年10月)以来、継続的に宇都宮校に通ってきているフィリピン女性(現在高校3年生)が1月の入試で白鴎大学教育学部英語教育専攻に見事合格しました。二児の母である女性は、学齢超過者であったので、高校受験の際は自分も含む宇都宮校のパートナー(宇都宮校ではスタッフをパートナーと呼んでいます)数名が出願手続も含めて応援しました。高校入学後も単位取れるように(赤点取らないように)応援を続けました。白鴎大学の入試は、英語と国語の試験で、過去の問題を一緒にみた時、国語は厳しいだろうなと感じましたが、よくぞ頑張ってくれました・・応援した時間は自分が一番長いので、喜びも格別なものがありました。将来、フィリピンルーツの女性の英語教員として活躍してくれることを期待しています。このような教員はまだ日本ではほとんどいないと思います。ご主人からは「‥の人生を応援いただき、ありがとうございます。・・寄り添い応援し続けていただけたお陰です」と丁重な御礼の言葉を頂きました。宇都宮校のスタッフからは、「夜間中学をやっていてよかったと思える出来事です」と喜びの言葉が伝えられました。
国連NGO「JACE NGOs」の活動の一環のようですが、「とちぎに夜間中学をつくり育てる会」についてローカルSDGsアクションフォーラムの取材を受けまして、その内容が公開されました。以下のリンクから閲覧できますので、どうぞご覧ください。
https://sdgs-forum.jp/article/068.html?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR2jH_9pB-fBUMQVU6bzvrwe6zJG9YVALj-Bp6QqVfgvmMrVlyrHsJx3xtk_aem_VgSrI9ZmE8N8S53G9m1akw
それでは、皆さん、また会いましょう。
追伸
私事ですが、私の長女(綾那)はソロモンというところで暮しているのですが、先月パラオに出張に行った際、上空からパラオを撮った写真を送ってくれました。きれいな写真なので共有させていただきます!
