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2025.12.25
第43回(2025年12月21日)開催報告
<全体報告>
28日は交流会なので、本日21日が今年最後の学習日。最近社会人の参加が増えていて、スタッフが足りなくないかなとやや不安な気持ちで会場に向かうと、たくさんの高校生の姿が・・栃木女子高校の生徒が6人も参加してくれました。スタッフが少ない時は、それを知っていたかのように応援に来てくれる人がいる。奇跡か、偶然か。この不思議な巡り合わせにも助けられて、なんとか1年無事に蔵の街校を続けることが出来ました。実は前の日の朝に高校生を引率してくれる教員から「明日生徒6名と私で参加させていただきたいです」とメールで連絡を受けていたのですが、バスケ集中日でメール見る余裕がなかったため、嬉しいサプライズとなったのでした。1年を振り返ると、継続的に参加してくれた学習者とスタッフには感謝一杯。いっぱいの感謝の意を込めて、「よく参加してくれたで賞」を送ります。気が付けば、自分は小学生のミニバスケ女子チームのコーチを30年近くやってきたのですが、自分でも不思議なくらい体育館に入ると、普段の温厚な性格が突如鬼コーチに変身する。宇大国際学部の女子学生がバスケの練習試合の見学に来た時に怒鳴っている自分を見て、「怖かった・・こんな怖い先生を見るのは初めて!!」とびっくりしていた。そうだよな、大学の学生を前に怒ったことなんて一度もないような・・やはり、勉学とスポーツは違う? 人が話をしているのに目を見て聞いていない、しっかり返事をしない、移動するときはたらたら歩かないで走る、こういう基本的なことが出来ないときは「怒るぞ!」というのが原則、そして、弱気になっているように見えるとき、全力でプレーしているように見えないときは、「心の底から」声を発してきた。長々と書いてしまったが、あるチームが卒業を迎えた時に子どもたちがメッセージを書いてくれた。その時のキャプテンが残してくれたメッセージが「良く怒ってくれたで賞」。このメッセージをみて大いに笑った。名前は確か、ハルカ!!・・今回、数多く参加してくれた数名の学習者に表彰状を用意しているとときに、この言葉を思い出した。
一方で、来なくなった学習者たちのことが気になる。正直に言って、一度だけ来て来なくなった人たちのことはあまり気にならない。期待していたような場所でなかったのだろという程度の解釈で自己納得する。しかし、数回あるいは結構の回数来ていた学習者が来なくなると大いに気になる。家庭や仕事の都合などが関係しているかもしれないが、やはり、この場が楽しくなかった、スタッフの対応に問題があったのでは、と考えてしまう。他の教室でも来なくなった学習者のことは話題に上がる。原因を追跡することが難しい状況の中で、すっきりしない気持ちが引きずる。しかし、分からないことは分からない。蔵の街校に関する原因が発覚すれば、真剣に向き合おう。そうでないなら、楽しく学べる他の場所に出会った、学校が楽しくなり勉強も分かるようになってくる必要がなくなった、と、友だちと楽しい時間を過ごしていて来る時間がない、と考えよう。自主夜間中学は学びの最後のセーフティーネットだと割り切ろう。そして、いつか会えることを「待っていよう」!毎週開店しているから、来たくなったらいつでも来てね。全然文脈は違うが、あみんの「待つわ」を想い出す。「わたし 待つわ いつまでも 待つわ」。
昨日、これまでの開催報告を大急ぎではあったが読み直した。自分もいろいろなことを書いてきたが、他のスタッフの熱量もすごい。自分は内容をある程度固めてから文章を書いていくというよりも、まず画面に向かい、いろいろなことを思い出しながら、ある意味無計画・非計算的に書いていくタイプ。そんな自分が提起的に継続して書くことが出来たのは、書く材料が豊富にあったからに他ならない。栃木市が準備中の栃木市多文化共生推進プランのあとがきに懇談会座長としての短い文章を寄せたが、栃木市は新しい故郷になるかもしれないと本気で書いた。栃木市と出会って1年と数か月足らず、しかし、実に濃い時間が流れた。
朝のミーティングでは、28日の交流会のチラシを配って参加を呼び掛けた。3月のオープンキャンパスのチラシ(Mさんが作ってくれた)データに少し工夫してつくった初めてのチラシである。交流会で楽しく念を振り返り、新たな1年に向かいたい。(T)
<小学生クラス>
〇今日はトータル6名の参加でした。そして今日は突撃クリスマス会!?中高生、大人の学習者のところへクリスマスカードなどのプレゼントを届けに行きます♪
まず1コマ目はまだ十分でないクリスマスカード作りとサンタ帽を2グループに分かれて作ります。サンタ帽は赤の色画用紙を円錐にして飾りをつける。ここでまたフリーダムな発想出現!円錐を作るのは子どもたちにはなかなか難しいので、大人が試行錯誤していると、四角で煙突みたいな帽子を作りだしたboyが…彼はワールドがあるので自由に任せていると、かぶった煙突…いや帽子の中にカードを入れ出した!かと思ったら横に紐をつけて,引っ張ってみて!と言うので葉っぱってみると『HO!HO!HO!』とサンタの声。いゃ〜サンタ帽イコール円錐…などと言う固定概念を粉々にして雪の如く散らしてくれました。ま、これは他の子たちがThis is サンタ帽!を作りかぶっていてくれるから、この奇想天外なサンタ帽もそれとわかるのであって、1人でこれで歩いていたら『なんですか?』となるわけで…。奇想天外はノーマルがあるから浮き立つわけです。ノーマルは大切なんです!決してつまらない訳では断じてない!!と、自己肯定し、さあ、乱入タイムです。
『Merry Christmas!』とまずは中高生の部屋へ。優しい、大人な中高生は苦笑いしながらも笑顔でありがとうと受け取ってくれました。一生懸命勉強しているところ,邪魔しちゃってゴメンネ!
次は大人のクラスへ!『突撃サンタでございます』こちらも、すごく真面目に一生懸命学んでいる方たちの中にお構いなしに割って入り、強引にカードを渡していました汗。いゃ〜みなさんお優しい。人が人なら『邪魔すんな!』とブチ切れられそうですが、そんな人は誰もいなくて、さっきまでの真剣な眼差しからふわっと優しい目になってくれていました。
プレゼントを配り終えたファンキーサンタたちはNorth Poleへ戻り、片付けた後、休憩タイム。そして来週の交流会に向けて,作戦会議を始めるのでした。
この子たちと関わってきて1年経ちましたが、色々な活動をする中で、自由勝手ではあるけれど,なんとなくまとまりみたいなものも感じるようになり、活動がスムーズになってきた気がします。お互いがお互いを本当の意味で理解してきているのだろうなぁと思います。
来週の交流会では今年やってきた活動の中で楽しかったことを発表します。みんな、色んな意見を出してくれましたが、はーい!と手を上げた3歳ちゃん。『何が楽しかった?』と振ると『公園にお散歩に行ったこと!』ん??散歩、行ってないんだけどなぁ〜。妄想か?保育園と混同しているのか?ま、楽しかったならいっかー汗(H)
〇は、夜間中学ボランティアに初めて参加しました。
来てすぐのときは、上手く関われるのか分からず、不安でしたが、他のボランティアの方々や小学生がたくさん話しかけてくれたので、会話が弾むようになり、楽しく活動することができました。
常に盛り上がりながら小学生とサンタクロースの帽子を作ったり、学習している方々にプレゼントを配ったり、これまでの夜間中学で楽しかったことを文字や絵で表現したりしました。
参加して良かった、また来たいと思いました。本日は、ありがとうございました。
栃木女子高校JRC部員 田辺紬
<中高生クラス>
今週はSくん、Aくん、Hくん(パキスタン)、Beさん、Buさん(ネパール)、Kくん(フィリピン)、Tくん(中国)と大盛況‼︎ 栃女高生のサポートがなかったら詰んでました。もう足向けて寝られません。以下、各受け持ちからの報告です。
◯ 普段は社会人の方を担当していますが、今回は参加人数の関係で中学3年生のA君を担当しました。前半は志望校のパンフレットから、志望学科、部活動を確認。プログラマーを目指すA君は電子情報科志望、部活動は剣道部志望。
パキスタン出身のA君は幼少期から断続的に日本に住んでいることもあり、日常会話、ひらがな、カタカナは問題なさそうです。若干弱いのが漢字と熟語。受験の面接対策として在学中の中学校の先生が作ってくれた問答集を丸暗記するのでは意味がないので、一文ごとに分けて、日本語の後に英語でも説明してもらい、A君がその文の意味をきちんと理解しているかチェックしながら進めました。
最後はプログラミングの話になり、彼が作ったプログラムを見せてもらいました。Java ScriptでWebアプリケーションを作っており、それを話すA君の楽しそうな顔が印象的でした。
年明けの入試まであと少し。合格目指して頑張れ。(K.S)
◯ Beさんと、来週交流会でスピーチする内容を確認したところ、誤解があり交流会発表用の原稿では無かったので、最初から内容を見直し原稿を作りました。
ノートに日本語で原稿を書き、日本語で発表する練習をして来週に備えました。
Beさんはネパールのダンスの大会でも成績を残しており、その時の動画を見せてくれました。来週交流会で披露するそうなので、参加できず大変残念です。
本日もありがとうございました。学びの多い午前中でした。(C.S)
※ Buさんは、途中からBeさんに合流して、二人で交流会用ダンスの打ち合わせをしていました。
◯ 今回の夜間中学では、中学生の男の子(Kくん)と国語のワークを用いて漢字の学習を行いました。漢字の読みや書きについてヒントを出したり、時には教えたりしました。
その学習者の方は、分からない漢字があった際にすぐ私に聞くのではなく、まず教科書を使って調べ、それでも分からなかった場合に私に質問するという学習方法をとっていました。その姿勢はとても素晴らしく、勉強に対して前向きであることが強く伝わってきました。
また、休み時間には新しく参加されていた学習者の方と楽しそうに話しており、学習の合間には私とも少し世間話をすることができ、全体的に温かく楽しい雰囲気でした。
次回は交流会があるそうなので、予定が合えばぜひ参加してみたいと思います。(栃女高JRC部 Y)
◯ 今回の夜間中学では、2回目ということもあり前回に比べ、より積極的に参加することができたと思います。私が担当した学習者の方(Sくん)は、日常会話はできたものの読み書きが苦手だったため主にひらがなやカタカナの読み書きを中心に一緒に音読したり、書き順を確認したりしました。
また、今回はクリスマスが近かったということもあり、小学生の学習者の方々が手作りのプレゼントをみんなにプレゼントするなど学習者もスタッフのみなさんも、とても楽しく参加されていて、とても良いなと感じました。
私は普段、外国の方と関わる機会が少ないため、今回の夜間中学では私にとって、とても貴重な経験となりました。次に夜間中学が開催される際にはぜひ参加したいと思います。(栃女高JRC部 I)
※ 高校受験向け数学を学習するHくんをサポートしてくれたのは、栃女からのスタッフFさん。
プリントと教科書を使って、1~3年生にわたる総合問題を教えてくれました。
数学は、女性スタッフからは敬遠されがち。そんな中、Fさんに数学を任せることへの同級生スタッフからの信望が厚い!Hくんが落ち着いて取り組んでいたのも納得、納得。2回目参加にして欠かせない戦力となってくれていました。
◯ 今日のTくんは、来週の交流会に向けて、学習体験発表の原稿作成&読み方練習です。彼はすぐに照れ笑いしますが、発表が苦ではないとのことです。
彼はバスケが得意で、中国では地区大会で優勝したとのこと。田巻さん、チームのコーチにスカウトしては如何ですか?(T.Y)
<社会人クラス>
〇 38回と41回のご報告に様子を書いていただいた大学院生のKです。いつも報告を書いてくださっている皆さんとは今日は違い、社会人クラスの新参者(?) の私にこの報告のペンが回ってきたのでありがたく筆を執らせていただく。社会人クラスは最近学習者の方が回を追うことに増している。大変ありがたいことで教室も賑やかになっていく。ここに来て勉強する目的は「日本語を学ぶこと」や「学びなおし」、人によって様々である。さて、今回筆を執っている私は日本に来て1年ぐらいという方をメインに担当させていてだいた。目標は日本語能力試験(JLPT)・N5の合格である。目標はJLPTで一番簡単なN5とは言え意外とスラスラと会話は進んでいく。細かいところが少し気になる部分もあるが日常的な意思の疎通は難なくこなしていく。テキスト開いて例文を一緒になぞりながら発音や意味を確認して進めていく。語彙や会話のレパートリーが増えていくことにお互い喜びを感じる至福の時間だ。あっという間に時間が進んでいく。さて、ここでクリスマスの準備をしていた小学生クラスの小さなサンタさんたちが社会人クラスにもプレゼントを届けに来てくれた。「メリークリスマス」の言葉と共に手作りのクリスマスカードを頂いた。教室全体の心が温まった瞬間である。教室のあちこちから発音の練習や会話が聞こえる中ふと時計を見るともう11:30。キリのいいところで今日の終えられるようにうまく調整しながら、最後は実際に雑談をして会話の練習をしていく。2週間前も担当させていただいたが驚くほど会話のスキルは上達していた。人は何歳でも急激に伸びることを実感した瞬間である。
今年のとちぎ蔵の街自主夜間中学も残すところあと1回である。自宅でこの報告を書く傍ら私は年の瀬の整理を進めていた。ふと「外国には年賀状みたいな文化」ってあるのかな?と頭によぎった。遠いようで近い隣人に思いを馳せながら短いが、今回の社会人クラスの報告の締めとさせていただく。(K)
〇学習者10名、全体の支援者21名。ネパール人3名 フィリピン人2名 日本人1名 インド人1名 インドネシア人1名 中国人1名 ベトナム人1名。
本日も女子高生が7名参加してくれた。先生も参加してくれたので心強く感じた。今回初参加してくれたひともいたが全員の顔が同じように映って判別がつかなかった。それにしても蔵の街自主夜間中に関心を持ってもらいただけでも有意義なことのように思いた。
「部活の人数は何人いるんですか」と唐突に声を掛けたら、「26人います」とリーダの人がストレートに答えてくれた。
「それでは、26人全員来てくれればありがたいですね」
「そうですね。考えてみます」と豪速球が返ってきた。冗談のつもりで放ったのだがまともに受け止められてしまった気がした。
今回は21名が参加してくれたので活気に溢れた。直ぐに学習室の机や椅子の並べ替えを全員で行った。全体のミーティングの教室の椅子が足りないので中高生の部屋から持ってきた。全員で行ったのであっという間に終わってしまった。
Tさんが白板に大きな文字ではっきりと書きこんだ。今日から合唱するチェコ民謡の「おお牧場はみどり」だ。唄う前にTさんが歌詞を読み上げてくれた。
「おおまきばはみどり♪ くさのうみかぜがふく♪ おおまきばはみどり♪ よくしげったものだ 『ホイ』。「この『ホイ』のところで手を叩いてください」とTさんが声を張り上げた。Tさんの熱血指導で全員が小学生の顔に遡ったような気がしてきた。合唱が始まると、何もかもがミドリの色に染まっていった。教室はみどりの大草原となった。みどりの色の風が教室中に吹き渡ってきた。
合唱曲はかなり馴染がある。小学校の音楽の時間に合唱した記憶が急に蘇ってきた。Tさんのテンションが以上に上がっているのが伝わってきた。Tさんのギターに合わせて鍵盤ハーモニカを吹き始めた。Tさんの躍動感あふれるパフォーマンスに教室中が音楽の暖房に包まれた。やっとTTコンビが復活した。
いつものようにKさんの右隣の席に腰を下ろし、ルーティーンの握手を交わす。前回同様に毛糸の帽子をかぶってきた。頭からすっぽりと眼だけが出ていた。まるで雪国でかぶるような帽子だ。余程寒いのか帽子を脱ぐ様子がない。Kさんの国では冬があるのか気になった。たとえあったとしても日本のような寒さはないのではと一人で納得する。更に厚手のジャンバーを着てきた。かなりしっかりとしている生地でできていた。
Kさんは次回の交流会に向けてのあいさつ文をTさんと作成するという。交流会で感謝状を受けることになっているからだ。蔵の街自主夜間中学開校以来休まずに通い続けているのはKさんだけのような気がする。少なくとも社会人クラスでは誰もいないのは明らかだ。感謝状に値する人物と受け止めている。これからも通い続けたいと口にしているのを何回も耳にしている。Kさんを支援しているTさんの存在も大きいと受け止めている。常にタブレットを駆使しながら学習支援をしているから。時にはタミール語に訳して伝えている。
「何かKさんは私の家族のような気がするんです。年齢を聞けば、娘の旦那と同じと分かったんです。更にKさんの娘さんが孫娘と同じ年なんです」
とファミリー感溢れる支援に自主夜間中学の原点を見た気がしてきた。押しつけの支援ではなく、やる気を起こさせる学習を心掛けているように受け止めた。
「これ、Kさんが書いたんですよ」とひらがなで書かれてある文章を見せてくれた。
「じゃ、練習のつもりで読んでくれますか」と振ってみたら自信に満ちた顔で読んでくれた。
まぎれもなくKさんが書いた文章だ。一字一字しっかりと声にだし読み上げる姿勢にこみあげてくるものがあった。ここまで辿りつくことができたのはKさんの学習に向き合う真摯な態度ではないかと結論づける。
中央の席には3人が寄り添っていた。二人の男女は今回で2回目になる。初参加の女性は殆ど日本語が分からないのか名前を友達に書いてもらう。3人を支援してくれる人はいないか前を向いたら、前回見学に来てくれたYさんと眼があった。Yさんは日本語学校で支援しているという。声を掛けたらすぐに応じてくれた。3人を支援している姿からかなり馴れているような空気感が漂ってきた。
その後から、
「わたしはあさおきて(何をしましたか)パンをたべて水をのんでここにきました」
「わたしは4人かぞくです」と3人が声を張り上げているのが聞こえてきた。
中央の後ろの席には院生のKさんがインドネシア人のFさんの支援をしていた。Kさんは初めからFさんを支援していた。Fさんは今回で4回目になる。Kさんはゆったりと支援しているようにうつった。Fさんは日本語能力がかなりあると笑顔で教えてくれた。Fさんも静かな闘志を燃やしているような態度が見受けられたのでKさんのように続けて来てくれるのではと深読みをする。
かなり遅れてパキスタン人の夫妻がやって来た。前回支援してくれたのはKさんだ。Kさんは中高生の支援者をしていたが社会人の支援者が足らなくなってしまったので来てくれたのだ。多分、またKさんに支援してもらえると思って来たのではないかと読んだ。「Kさんは休みです」と伝えるとソワソワとしてきた。前回支援してくれた人が支援してくれるとは限らないのが自主夜間のネックのような気がする。支援してくれる人がいないので廊下に出てみると女子高のY先生がいた。女子高生に支援をお願いしたらすぐに手配をしてくれた。更にTさんも加わってくれた。
教室の左側の後ろにはN4のAさんをYさんが支援していた。Aさんも続けてきている。Aさんの日本語の会話力はかなり高い。違和感なく会話ができる。唯漢字を読んだり書いたりが出来ないと白い歯を見せ答えてくれた。Yさんが教科書に載っている物語をコピーしてくれた。
殆ど毎回参加している中国人のPさんは支援者のNさんと中高生の教室に移動していった。2人の学習意欲の熱量が抜きんでているように窺えた。Nさんの支援の真剣度に感服する。Pさんも交流会で感謝状を受け取ることになっている。最後のミィーテングで感謝状のことを伝えたら理解はしているようだが戸惑いも感じているように見られた。Pさんはシャイながら芯の強さもあると感じている。雨の日も自転車で通い続けてと聞いているからだ。
初参加のベトナム人のTさんを支援する。言葉はあまり通じないがひらがな、カタカナは書けた。ノートに丁寧に書いてくれた。多分かなり書く練習はしてきたのではと読んだ。するとスマホを取り出して会話を始めた。会話の相手はベトナムにいる日本語の恩師とわかった。今度は変わって出てほしいとスマホを渡してくれたので、60代くらいの恩師と日本語で会話した。雑音が入ってきてよく聞き取ることができなかったが、強く主張していたのは、Tさんは地元の大学を卒業して真面目な学生だったということだった。Tさんは見るからに真面目さが全身から吹き出ていた。記録帳に名前と住所をかいてもらった。カタコトながら働いている会社を教えてくれた。Y工業で働いているとか。どんな会社か分からなかったので聞こうとしたら「ロボット、ロボット」と繰り返した。多分ロボットを作っている会社ではとよんだ。
一時間遅れて女性がやって来た。フィリピン人のIさんだ。O町にある大手の自動車会社に勤めていて、フォクリフトに乗っていると口にしていたのを思い出した。女性がフォクリフトを乗りこなしていることに凄みを感じていた。「凄いですね」と掛けると当たり前の顔をしていた。Iさんはかなり話すことはできたが文字を書くことは苦手なようだった。TさんとIさんは小学生のドリルの学習をする。
「あめ、いす、うま、えだまめ、おにぎり、かめ、きつつき、くるま、けんだま」
書き終わったころに子供たちが教室に入ってきた。赤いとんがりの帽子を被り折り紙を配り始めた。もうすぐクリスマスがやってくるので予行演習の様だ。Iさんの子供もやって来た。3歳と言う。一気にクリスマスモードに包まれてしまった。少し席を外してる間にTさんとIさんが会話を始めた。外国人同士で通じ合えるところがある気がしてきたのでそっと見守ることにした。
後でIさんがTさんと会話をした内容をこっそりと教えてくれた。TさんはF町から雨の中自転車で来たという。F町はT市から10㌔以上あるのではと思った。学習が終わってから次も来てくれると口にしてくれたのでひとまず安堵した。
日本人のMさんのところに顔を出したら支援者のSさんが今日学んだ資料を見せてくれた。「老いを愛でる」というタイトルの本と新聞のコラム欄を切り抜いてきたものだ。コラム欄には「イギリス人は歩きながら考える」とあった。
Sさんは毎回工夫しながら支援している。学習者に飽きさせないためではと受け止める。今年の学習支援は今回で終了した。来年は午年だ。どんな走りが見られるか楽しみだ。(K)