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2025.12.4
第40回(2025年11月30日)開催報告
全体報告
朝のコーナーの「せんろはつづくよどこまでも」の合唱は今日が一応最終回。皆楽しそうに歌っている!!Hちゃんのダンスも大いに盛り上げてくれている!! 思えば、大学時代に少しギターを覚えたのだけど、それ以来何十年手にしていなかった。とちぎ自主夜間中学宇都宮校の開校準備をしていた時に、校舎がないならせめて校歌を作ろうと思い、「前を向いて歩こう」を作詞し、開校式でみんなで一緒に歌うためにギターと再会した。当日、いくつかのコードが上手く押さえられなかったように、よく間違えるし、押さえられるコードも初歩的なコードに限られている。今後上手になることは無い!と断言できる。ただ、新しい歌にチャレンジすることはとても楽しい。現在、5曲目を思案中。これまで結構好評だっただけに、それなりのプレッシャーを勝手に感じている。JICAマガジン(2025年12月1日公開)で蔵の街校の様子が紹介された。「夜間中学が学びの場と多文化共生の輪を広げる」。写真も文章も構成もとても素敵に仕上がっていると感じる。何人かの感想。「とても素敵な記事ですね!特に紙飛行機の写真が良いです(絵文字)。先生、ギター弾けるんですか?いつか聴いてみたいです」(大学在任中にギター弾いたことないからね)。「JICA!丁寧にインタビューされている素敵な記事ですね」。「読みやすく、親しみやすい記事で、これまでの先生の活動が伝わってきました・・本当に必要な人に必要な場所や物・事を届けるって、大切なことなのに、難しいことも多いですよね」、「『グローカルで行こう!』楽しそうな雰囲気が伝わってくる素敵なお写真ですね」、「皆さん良いお顔していますね。活動が楽しい証拠ですね」。
交流会開催決定!!!今年もあと1か月となった。今年最後の開催日12月28日(日)午前中に1階の大交流室で交流会を開催することを決定しました。日程と場所が決まっただけで、これから内容について考えていきます。映像、歌、ダンス、笑い、メッセージ、感慨、今後への想い!手作り、参加型の楽しい交流会を企画します。
本日の学習者は、小学生5人、中高生4人、社会人15人の計23人。本日は4教室に分かれて学習活動をした。自分は特定の学習者を応援するのではなく、全体を見回るような役割なのだけど、主に小学生クラスに居座って一緒に楽しんだ。小さなドラマがいつも生まれているような雰囲気、次回もとても楽しみだ。(T)
小学生クラス
今回も参加はいつもの・・いえ、いつも来てくれている5人。その中でここ数回続けてきてくれている来日2ヶ月余りの6年生。彼女は日本語ビギナークラスの大人に混じってまずはやってみた方が良いのかな。と思ったのですが、皇帝より「小学生クラスで楽しい時間を!」との命が下ったので「御意!」と常連さんに混じって活動を始めました。先週はクリスマスのクイズをやったのですが、今週はその声は上がらず・・・でも時期的にクリスマスの事が良いかな・・・では、クリスマスカードを作ってみんなに渡すってどう?以前やったお手紙のクリスマスバージョン!クリスマスに近い活動日の12月21日に渡せるよう、今日から準備しよう!と始まりました。お手紙の時と同じように折り紙に書いて、別の折り紙で封筒を作って完成。クリスマスカードだからMerry Christmas!とかHappy Christmas!とか字を書いたり好きな絵を描いたり、模様や飾りをつけるのもいいね!なんて話していたら、それを聞き終わらないうちにどんどん書き始めていました。「何を書こうか?」「どう描こうか?」と悩んで手が止まる子は全くおらず、躊躇なく書いていきます。クリスマスというイメージしやすい題材で、今の時期、街にはクリスマスの諸々が溢れているのですぐに浮かんだのでしょうが、それにしてもこのスラスラ具合にはビックリです。
「めっちゃ勉強してるので自信満々でテストに臨んでます!」と「始め!」の合図と同時に裏返しのテストを素早くめくって回答をすごい勢いでカリカリと書き出す、絶対自分の前後左右の席にいて欲しくないタイプのクラスメイト。を思い出しました笑
みんなしばし集中して取り組んんでいてつい先日お誕生日で6歳になったばかりの子も頑張ってM.e.r.r.y.C.h .r .i .s .t .m .a.sを書いていました。ツリーやプレゼントの絵も描いたりして可愛いカードができました。大人の学習者はたくさんいるのでカードをたくさん作らなくてはいけないから、もっと作って!と言うと1人以外はもう飽きた・・と言う雰囲気。全く!食いつきはいいが飽きるのも早い。テストだってチャッちゃと終わらせてじっくり見直しをしないと失敗するんだぞー!という裏メッセージを込めてもう1つずつ作りましょう!もらって嬉しいカードをね!!と2コマ目に入りました。
カード作りが面白くなって一人で5つも作ってくれた子、一つに全集中してスンバラしい1枚をかきあげた子、封筒にサンタの折り紙をつけてデコってくれた子など。中にはまるで暗号のようなものがカードに書かれていて、いきなりコレをもらったら頭に?が3つ浮かぶだろうなぁ。でもここに集まる人たちは大人も子どもも、日本人も他の国の人たちも、学習者も支援者もみ〜んな心の広い、多様性を受け入れてくれる人たちばかり!謎の暗号も書き直しで×がたくさんついてるカードもきっと笑顔で「アリガトございます!」と喜んでくれるに決まってる!小さくてファンキーなサンタたちが皆さんのところへhappyを届けに行きますよ〜
カードはまだまだ足りないので来週もたくさん作らなきゃ!そのためには、秒で飽きてしまわないように何か考えておかないと・・・汗、寒いのに汗
追記 来日2ヶ月の6年生はと〜っても楽しい子で時々2年生に通訳してもらいながら、全く問題なく自分のペースで参加してくれました。このポジティブさはこれからの生活でとっても大きな武器になる。この子は大丈夫!!と確信しました。そしてさすが皇帝、コレを見抜いていたのですね〜?(H)
中高生クラス
今回の中高生クラスでは、4名の学習者の参加がありました。来日してまだ間もないネパールの方は、ひらがな・カタカナの書き方と発音の仕方を、一文字ずつ丁寧に書き取り、声に出して読んでいました。ネパールの中学生は、反対語カードを使って、例文を作ったり、そこから話題をふくらませて、サポーターと会話を楽しんでいました。語彙も増えたことでしょう。フィリピンの中学生は、先週に引き続き、数学の作図に取り組みました。コンパスの使い方を教えてもらいながら、正しく作図ができるように、何度もトライしていました。パキスタンの中学生も数学に取り組みました。初参加の高校生サポーターと一緒に方程式の問題を数多く解いていました。数学という言葉でコミュニケーションを補っていました。
今回は、学習者とサポーターが1対1で関わることができたので、各自のペースに合わせ、集中した雰囲気の中で学習を進められました。(Y)
社会人クラス
〇「私は○○です」皆さんの前で、一人ずつ自分で書いた名前の用紙を掲げて自己紹介を行いました。学習者全員が、自信に満ちた様子で、恥ずかしがらずに堂々とできました。わずかな学習内容でしたが、今回のレッスンの成果となりました。
パキスタン人ご夫婦、バングラデシュ人学習者5人(うち2人は今日初参加)です。挨拶を交わし、前回の復習をしました。学習済みの言葉を使って今日の学習目標の「ひらがなの読み書き」に入ります。「きのう」「きょう」「あした」、するとすぐにメモをとろうとする学習者がいます。「よく聞いて。後で書く時間は設ける」という旨をスタッフのUさんに英語で伝えてもらいます。皆の顔がホワイトボードに集まります。まずは「き」の書き方からです。「いち、に、、、」と、書き順の番号をふりながら板書します。初め右手で空に書き、その後ノートに書いてもらいます。一字一字、ゆっくり導入していきます。学習者一人を前に誘導し、ホワイトボードに書いてもらいます。「いいですか」の問いかけに皆が「はい」と答えてくれます。ところが、同じ国の人には厳しくて(笑い)時々、「いいえ」の返答に書き直す人がもいて、教室中に笑いが起こります。書いた人は「○○さん、おねがいします」と、次の人を指名します。間違う場面があると、再び、笑いが起こります。初めての参加者もいつのまにかすっかり溶け込んでいます。
「きょうは11がつ30にちです。」「にちようびです。」「わたしは○○です。」と、ここまでひらがな14字を学習しました。モデル発音を聞いて、短くもまとまったフレーズが言えて、それが書けて、読めます。初めてのひらがなを、真剣に、丁寧に、しっかりと、そして、楽しそうにノートに書いています。覚えたらひらがなが単語になり、表現になります。学習者の納得の表情が見られ、充実した2時間でした。(T)
〇学習者15人、全体の支援者17名。日本人1名、中国人2名、バングラデッシュ人5名、パキスタン人2名、スリランカ人2名、インド人1名、フィリピン人1名、インドネシア人1名。
今回も全体のミーテングの後、「せんろはつづくよどこまでも」を全員で合唱する。Tさんのギターに合わせてTさんは鍵盤ハーモニカを吹きながら足踏みをしながら演奏する。TTコンビの息の合った演奏が会場を盛り上げた。「せんろはつづくよどこまでも」は今回限りで次回からは新しい曲にかわるとのことなので、次の曲に期待を膨らませる。
左側にポツンと1人座っていた。どうやら初めて来たような気がする。何となくソワソワと周りの様子を窺っていたからだ。年齢は30歳くらいに映った。直ぐに近寄って名前を紙にかいてもらう。書き慣れているようでカタカナですらすら書いてくれた。
「あなたの国はどこですか」とすかさず尋ねたらすぐに「インドネシア」と答えてくれた。インドネシアの人は初めてのような気がする。更に続けていくとT市内では大手のI食品会社で働いているという。I食品は県内でも知られている会社だ。テレビのコマーシャルで流していたこともある。さらに聞いていくとN5を学びたいという。N5を学びたいということはどこかで日本語を学んでいたのではと膨らませてみた。学習が始まると一人とり残された。誰に支援してもらうかまわりを見回したらSさんが入口付近に佇んでいた。Sさんしかいないと決めて支援をお願いした。Sさんは今回息子さんと参加してくれた。SさんはFさんの支援をしてくれることになった。最後のミーテングでFさんが自己紹介をした後に、Sさんが学習状況の報告をしてくれた。日本語の能力はかなりあるとのことだった。
こんどはバングラデッシュ人5名が押し寄せてきた。3人は前回来てくれた。後の二人は初めての参加だ。そのうちかなり背が高い人がいたのが目立った。同じバングラデッシュ人でもインド系と東南アジア系の顔の人がいたのには驚いた。バングラデッシュはミャンマーとタイに接しているから東南アジア人が流入して来るのではと深読みをする。さらに遅れてパキスタン人の夫妻がやってきた。夫妻は今回で2回目だ。前回はかなり緊張していたのか2人とも顔が四角く尖っていた。今回は教室に入ってくるなり柔らかな笑みを浮かべていた。バングラデッシュ人とパキスタン人を支援してくれたのはTさんだ。
今回もTさんが支援を引き受けてくれることになった。教室が狭いので教材室に移動していった。Tさん1人では対応できないのでIさんも加わってくれることになった。Tさんが引き受けてくれなければ1人1人の対面学習はとてもできない。
学習が始まって1時間過ぎてから教材室に近づくとTさんの声が響き渡ってきた。部屋を覗いてみると、大きな紙を両手で持って学習者が佇んでいた。紙には名前が書かれていた。前に出て大きな声で名前を声に出していた。
「わたしのなまえはAです。バングラデッシュ人です」
「わたしのなまえはMです。バングラデッシュ人です」
「わたしのなまえはSです。パキスタン人です」
「わたしのなまえはUです。にほんじんです」と支援者のUさんが学習者と同じように紙を両手に持って大きな声で名前を張り上げた。自己紹介の練習に加わっていたのだ。ここまでのめり込んで支援をしているとは考えていなかったので沁みてきた。
Tさんの一本筋の通った采配に全員が一丸となって応えていた。まるで学習者は園児に見えてきた。これまで全員が右習いに行動するとは予想がつかなかった。見事なチームプレだ。学習者の平均年齢は多分40歳に近いのではと思われる。
最後のミーテングで同じようにTさんの号令で自己紹介を始めることになった。Tさんは名前ではなく「ハイ、1番の人出て来てください」と通った声を張り上げると、名前が書かれた紙を両手に持って「わたしはAです」と吐き出した。「ハイ、2番の人、3番のひと」と次々と呼び出していった。2度も同じ光景を目にした。まるで軍隊のように統制が執れていたので、TさんとUさんの見事な支援に感服した。
窓際ではK、Tコンビが熱い学習を繰り広げていた。Tさんはタブレットを駆使して支援をしていた。休むことなく続けていたので気になる存在だ。
今回も学習が始まる前にルーティーンの固い握手をKさんと交わした。Kさんは筋肉質の固い手で強く握り返してくれた。握り返してくれた手から学ぶ意欲がズキズキと伝わってきた。ついつい彼の情熱に押されて支援に来ているのではという思いになってきた。このところ続けて来ていたNさんの姿がなかったのでKさんに窺おうとおもったが口にしなかった。そのうち遅れてくるのではと判断したからだ。
KさんはN5を始めたので漢字の練習に取り組んでいた。「安い、高い、午前、午後、賞味期限、お花見、弁当」。お花見のときの弁当に記載されている漢字をノートに書きうつしていた。「弁当はタミール語でなんというの」とTさんがタブレットで検索するが弁当文化がないのか出てこなかった。Kさんに聞いても分からないのか答えに窮していた。弁当は日本の食文化だけのものなのかもと納得することにした。急に数日前に画面で見た光景を思い出した。最近、ニュヨークのビジネス街で弁当が売り出されて話題になっているという。嬉しいニュースだ。
スリランカ人2名はTさんが支援することになった。何回か支援したことがあるからだ。彼等も続けて来ている。「それ、あの、この、」の使い方を学んでいた。検索してみると見た目の距離の問題と出ていた。普段何気なくつかっているので改めて説明するのは難しいと思った。更に時計の見方を学習していた。どうして今更時計なのかと思ったらデジタルしか使ってないからアナログの時計の見方が分からないとか。Tさんは丁寧に時計の絵を描きながら説明していた。
日本人のMさんと支援者のSさんは陽の当たる窓際で、じっくりと短編小説の「豆よこんにちは」を読んでいた。すると、MさんはSさんが「よく教えてくれるからこの人を信頼しているの」と口にした。Sさんの真心ある支援に感謝しているのが伝わってきて、2人の絆が深まってきている気がした。
今回も中国人のSさんを支援する。娘が使っていた歴史の教科書を携えてきた。すでに娘さんは大学生とか。家で歴史の本を読んでいるが分からないと吐露する。確かにいろんな人物が出てくるから名前を覚えるだけでも難しいのではとよんだ。
「武家社会の成長、鎌倉幕府の滅亡」を読み始めると天皇や武士が何人も出てくるので混乱してしまった。かなり難解だったので途中から自身の話題に切り替わってしまった。想像していた日本は印象が良くなかったが、来日して日本人の優しさや親切さを実感できたので、
「今は本当に幸せです」と口にした。幸せの文字が胸にジンと刺さってきた。
N4のAさんは支援者のYさんと隣の教室に移動した。中国人のPさんと支援者のNさんも移動していった。隣に移動していった4人は隙の無い学習を展開していたのではと膨らませてみた。今回は動きのある学習支援だった。(K)